お知らせ

2026年7月28日火曜日

第5回|学び続ける ― これからの介護と、必要な医療の知識


 

連載第5回は、「学び続けること」の大切さについてです。

前回も少し触れたように、入院できる期間はどんどん短くなり、治療を終えた方が早めに暮らしの場へ戻ってこられる時代になりました。これはつまり、私たち介護の現場にも、これまで以上に基礎的な医療の知識が求められるようになってきた、ということです。研修では、高齢の方に多い病気を例に、現場で知っておきたい「基本」を教えていただきました。

たとえば、心不全です。心不全は、一度発作を起こすと、心臓の働きが完全には元に戻らないといわれます。だからこそ、弱った心臓に負担をかけすぎないことが大切で、特に「塩分」と「水分」のとり方に気をつける必要があります。先生は、「健康な方と同じように、とにかくたくさん水を飲んでもらえばよい」という思い込みの危うさを指摘されました。良かれと思って一律に水分を勧めることが、かえって心臓に負担をかけてしまうこともある、と。体重が増える、むくみが出る、息切れがする――そんなサインに早く気づき、看護師や医師、ケアマネジャーへつなぐこと。そして、つらそうにしている方には無理に歩いていただかず、そっと休んでいただくこと。その小さな判断の積み重ねが、利用者の安全を守ります。

もうひとつ教えていただいたのが、糖尿病です。食事制限をされている方を見て、「他の方と同じものを食べられなくて、かわいそう」と感じてしまう――そんな優しさが、実は危険につながることがある、というお話でした。糖尿病は、ただ尿に糖が出る病気ではなく、血糖値をうまく調整できなくなる病気です。高い血糖の状態を放っておくと、血管が傷み、やがて深刻な合併症につながってしまう。だからこそ、血糖値を管理し、それに基づいた食事をきちんと続けることが、その方の体を守ることになるのです。「かわいそう」という気持ちの奥にある本当の優しさは、ルールを守って差し上げることなのだと、考えさせられました。

なかでも心に残ったのは、「知っているからこそ、適切に関われる」ということ。知らないままの「よかれと思って」が、思わぬリスクにつながることもある。だからこそ、私たちは学び続けなければならないのだと、気が引き締まりました。網走福祉協会では、こうした学びの機会をこれからも大切にしていきます。職員一人ひとりが知識を更新し続けることが、利用者により安心していただける介護につながると信じています。次回からは、現場ですぐに活かせる「介護の実務」のお話を続けます。まずは、意外と知られていない「車いす」の正しい考え方についてお伝えします。